【アラブギリシャリクガメと暮らす】後悔しない準備~ゲージ編~
ゆっくりとしていて、つぶらな瞳と丸いフォルムがかわいいリクガメ。
今日はリクガメの中でも、淡いイエローカラーに、ギリシャ模様のような美しい甲羅を持つアラブギリシャリクガメにスポットライトを当て、お迎えするために必要な環境の準備について細かく解説します!
私も現在アラブギリシャリクガメを飼っていますが、のんびりとした姿に毎日癒されています。
これからお迎えしようとしている方、「お迎えして数年たったけど、飼育環境はこれであっているのか不安…」という方の参考になれば幸いです!
アラブギリシャリクガメって?
アラブギリシャリクガメは、地中海南東地域に多く生息しているギリシャリクガメの亜種で、地中海に面する中東の国々(シリアやトルコ、ヨルダンなど)に多く生息しています。
ギリシャリクガメの亜種の中で一番寒さに弱く、性格や好む環境の個体差が激しいため、飼育が難しいといわれていますが、他のリクガメと比べて小型で、甲羅が高くまんまるなフォルムをしていることから、日本でも大変人気な種類です。
アラブギリシャリクガメは成長しても20~30㎝ほど、寿命は約30~50年ほどだといわれていますので、成長に合わせた十分なスペースと、最後まで面倒を見る覚悟を持ってお迎えしてください。
またリクガメはCB個体、WC個体に分類され、これは生まれてから販売されるまでの飼育環境に由来します。CB個体とは人工繁殖で生まれた個体で、WC個体は野生で生息していたのを捕獲した個体です。
これらの個体は飼育の難易度に大きな差があり、人に慣れやすいCB個体に比べ、WC個体は人のお世話にストレスを感じやすく、飼育が難しいといわれています。ただCB個体の中には、海外の大きな庭のような飼育場で育ち、日本に輸入されるという個体もいますので、全ての個体が慣れやすいということはありません。
それぞれのリクガメをしっかりと観察し、その子にあったお世話の方法を研究することが重要です!
アラブギリシャリクガメのお迎え準備
▶環境づくり
お迎えすると決まったら、まずゲージを準備し環境を整えます。
リクガメが来てから「ライトがつかない!」「室温が上がらない!」などのトラブルがないよう、お迎えの1週間ほどには準備を行い、機材類がきちんと作動することを確認しておきましょう!
▷ゲージの大きさ
確保できるスペースやお迎えするリクガメの大きさによっても変わってくるかと思いますが、おすすめは幅約90cm、奥行約45㎝のゲージです。
「ベビー(約6㎝未満)の個体には大きすぎるのでは?」と思われるかもしれませんが、リクガメはおなかがすくとご飯を求めてかなり歩き回ります。また広いゲージにしておくことで、ゲージ内の温度に勾配をつける(後ほど詳しく解説します)ことが簡単になります。
反対に幅約120㎝など大きくしすぎてしまうと、リクガメがたくさん運動できて良い反面、温度管理が難しくなったり、より多くの機材(ライトなど)が必要となってしまうので要注意です。
ちなみに私は約7㎝のベビーをお迎えした際、幅約60㎝のゲージを準備しましたが、半年ほどで狭くなってしまい約90㎝のものに買い換えました...
あまり安いものではないので、初めから先を見越した大きさをおすすめします!
またゲージは手作りのものでも飼育可能ですが、初心者の方は市販されているリクガメ専用ゲージを使用するのが良いでしょう。通気性が考えられていたり、ライトやヒーターを装着しやすく工夫されているものがありますので、より簡単に環境を整えることができますよ!
口コミの評価も高く、私も愛用しているゲージは「三晃商会(SANKO)」という会社様の「パンテオンホワイト WH9045」というゲージです。
別売り部品でカスタマイズ性も高く、組み立ても簡単で非常におすすめです。
▷アラブギリシャリクガメに最適な床材
アラブギリシャリクガメは乾燥地帯に生息していますが、乾燥のし過ぎは厳禁です。
湿度は常に50%~60%くらいになるように調整し、40%を切ることがないようにします。そのために重要なのが、加湿効果のある床材を選ぶことです。特に乾燥する冬などは定期的に霧吹きなどで水を含ませることで、湿度を保つことができます。
私が実際にアラブギリシャリクガメの飼育で使用していて、おすすめの床材を紹介します!
①ヤシガラチップ(パームチップ、ハスクチップとも呼ぶ)
天然のヤシガラを100%使用しているものがおすすめで、ホームセンターやペットショップでも購入できます。保湿性が高く、消臭効果もあっておすすめです。
パインバーク(夏の樹皮)を使用しているもので、ヤシガラマットに比べ値段が高いです。しかし見栄えが良く、細かい繊維が出ないため、誤飲を防ぎやすくなります。
天然のヤシガラを100%使用した粉末状の床材で、乾燥する時期にヤシガラチップやバークチップの下に敷くと加湿効果をアップさせることができます。また粒が細かいので、潜って寝ているリクガメの体温を温かく保ちやすくなります(シートヒーターなど下から温めるとより効果が発揮されます。)
ただ細かい分、誤飲の可能性があるので、エサ皿の下に石プレートを敷くなどして防ぐ工夫が必要です。
紹介した以外にも様々な床材がありますが、実際に使用した際の感想も含め、メリット・デメリットを簡単に紹介します。
〇ウォールナッツサンド(クルミの殻)
メリット:見た目がキレイ、比較的安価
デメリット:細かいため誤飲の可能性が高い、交換の際の掃除が大変
〇デザートブレンド(天然の砂、土)
メリット:保湿性が高い、比較的安価
デメリット:誤飲の可能性が高い、乾燥すると舞ってリクガメの目に入りやすい
〇チモシー
メリット:掃除がしやすい、食べても安心
デメリット:消費期限があるので要注意、独特のにおいがする
〇ペットシーツ、新聞紙
メリット:安価、掃除がしやすい
デメリット:誤飲時のリスクがとても高い、排泄時はすぐに交換が必要
▷必要なライトの種類と注意
アラブギリシャリクガメの飼育にとって、ライトの準備は非常に重要です。
それぞれの役割をしっかり理解し、慎重に選びましょう!
まずリクガメの飼育に必要なライトは3種類あります。
それは温度を調整するための保温ライトと、成長に必要な紫外線を照射するUVライト(紫外線ライト)、自然な日光浴を促すバスキングライトです。
それでは、それぞれのライトについて細かく見ていきましょう!
〇保温ライト(保温球)
リクガメは自分で適した温度の場所に移動して過ごすため、ゲージ内の温度に勾配をつけることが必要になります。いくらリクガメが高温を好み、紫外線が必要だといっても、それがずっと続くと、リクガメはストレスを感じたり、成長や甲羅の形成に障害が生じてしまいます。
つまり「紫外線から逃れて少し涼しいところで過ごしたいな~」とリクガメが思ったときに過ごす温度が低めな場所と、「しっかり体を温めて甲羅の成長を促したいな~」と思ったときに過ごす温度が高めな場所を作ってあげる、ということです。
しかしゲージ内の最低温度は25度以上※で保つ必要があり、それを下回るとリクガメが肺炎などの病気になりやすいので要注意!そこで必要になるのが、ゲージ全体の温度管理を担う保温ライトです。
※ アラブギリシャリクガメの場合個体差もありますが、最低温度は28度ほどと高めなほうが良い傾向にあります。しっかり観察して、少しずつ調節しましょう!
また保温ライトは赤い光を放つことが多いです。リクガメは赤色を判別できないため、これにより夜でもストレスを与えることなく照らし続けることができます。
〇UVライト(紫外線ライト)
リクガメは本来日光浴をすることで、紫外線に含まれるUVBを体内に取り入れ、カルシウムの吸収を促進し、甲羅や骨の成長を促します。そのため太陽の光が届きにくい室内飼育では、必ず設置しなくてはならないものです!
また光の量が強すぎたり、リクガメとの距離が近すぎるとストレスになることもありますので、ゲージの大きさや高さなどを確認しながら、適したものを選びましょう。
アラブギリシャリクガメにおすすめなのは「砂漠などに生息」「乾燥地帯に生息」などと記載されたUBV量が高めのライトです。
購入後、「強すぎたかも…」と感じることがあれば、ライトの取り付け高さを調節したり、シェルターを設置してリクガメを守るなどの処置をとってくださいね!
〇バスキングライト
日光浴は、リクガメの食欲増進や生殖機能などに効果があります。しかし室内飼育下では、自然の太陽の光を浴びにくいため、このバスキングライトを使用してリクガメが体を温めることのできるバスキングスポット(ホットスポット)を作ります。
これはリクガメの一日のサイクルを作るためにも重要なものですので、必ず設置して、毎日同じ時間に点けたり消すようにしましょう。
自分で管理することが難しければ、サーモスタッド※などを利用して管理しましょう。
※ 設定した時間に接続したライトの点灯、消灯を自動で行ったり、設定した温度になるように保温機器を通電したり止めたりしてくれる機材です。
▷シェルター
シェルターとは、リクガメが紫外線を避けたかったり、暑さから逃れたいと思ったときに入れるよう設置する、いわばお家のようなものです。
リクガメ用シェルターとして市販されているものを使っている人もいれば、鉢植えを半分に切断して使用している人、DIYで自作したものを使用して人など様々です。
ちなみに私はメルカリで、滑り台付きのリクガメハウスをオーダーメイドで作ってもらい、愛用しています!
ベイビー期などは起きている時間が少ないため、シェルターを入れると紫外線を十分に浴びることができない場合もあるため、時間によってゲージから出し入れする、もともと設置しないなどの工夫が必要です。
我が家のアラブギリシャリクガメは起きている時間が比較的少ないと感じるため、シェルターの中で眠っていても、お尻だけはライトが当たるようにシェルターの場所と角度を調節しています。
自作を考えている人は、材料がリクガメの健康を害することがないか、しっかり調べてから作るようにしましょう!
▷水飲み場
水飲み場は市販のリクガメ用のものを使用したり、浅めのプレートや植木鉢の受け皿などでも代用可能です。
アラブギリシャリクガメはもともと乾燥地帯に多く生息しているため、必要ないと思われるかもしれませんが、ゲージ内に水飲み場を設置するメリットがいくつかあります。
【水飲み場を置くメリット】
1.野菜などのご飯からだけでは補いきれない水分を補給する
実際に我が家のアラブギリシャリクガメも、顔を水飲み場につっこんで飲んでいることがよくあります。リクガメは水分不足になると、膀胱内に結石ができるリスクが高まってしまうので注意が必要です。
2.リクガメ自身が体温管理できる
リクガメが暑いと感じた際、自分自身で温度管理をすることができます。体温がぐっと下がりすぎてしまうなんてことがないよう、常温水やぬるま湯を入れるようにしましょう。
3.温浴の代わりになる
飼育下のリクガメは便秘解消と体を清潔に保つために、温浴をさせることがあります。
我が家のアラブギリシャリクガメは便秘になりやすいためよく温浴をさせていましたが、あまり好きではないようで1分ほどで「出たい!出たい!」と暴れます。効果はあれどストレスを与えるのはよくないなと考え、水飲み場に40度ほどのお湯を入れご飯前に入ってもらうようにしました。するとやはり腸が動くことで快便につながり、いやな時はすぐに出れる環境なので、ストレスを与えずルーティン化することができました。
※温浴については、改めて詳しく記事を書く予定です!
【水飲み場を置く注意点】
水飲み場は必ず毎日水交換を行い、清潔に保ちましょう。またベビー期などは中で寝てしまい、体温が急激に下がってしまうなどのリスクもありますので、注意して観察する、大きさを考えるなどの工夫をしましょう。
▷暖突(だんとつ)、シートヒーター(パネルヒーター)
前述の通り、ゲージ内の温度管理が非常に重要なアラブギリシャリクガメの飼育ですが、冬の寒い時期や、エアコンをつける夏の時期など、外的要因で温度を高く保つことが難しい時があります。
保温球だけでは心もとないそんな時に便利なのが、暖突とシートヒーターです。それぞれについて詳しく解説します。
〇暖突
ゲージの天井や側面に設置してゲージ全体を温めることのできる保温機器で、それ自身が熱くなりすぎることもなく、安心して使用することができます。
また電球に比べ電気代が経済的であるといわれており、取り付け交換不要(買い替え頻度が少ない)ことも魅力の一つですね!
〇シートヒーター(パネルヒーター)
ゲージの下に差し込んで設置することで、下から暖かさを保つことのできる保温機器です。ゲージ内温度をたかくすることはできませんが、リクガメのおなかを温めるために重宝されるアイテムです。
特にシェルターの下部分やリクガメが寝床にしている部分に設置することで、集中して体を温めることができて効率的です。
ただ、直接ゲージ内に設置しても問題ないものとそうでないものがあります。そうでないものは床材やリクガメと接触させると発火ややけどの可能性があるので厳禁です!
購入する際、直接設置可能か、防水使用であるかなどをよく確認して選ぶようにしましょう。
不可の場合はゲージに脚があるタイプで、ゲージとシートヒーターの間に空間が確保できる場合にのみ使用しましょう。ちなみに、前述のおすすめゲージ(パンテオンは使用可能です。)
▷石プレート
リクガメ専用の石プレートや食器として販売されているものなどをゲージに設置することで、次のようなメリットがあります。
1.ごはん中、床材の誤飲を防ぐ
床材の上にお皿よりも大きめなプレートを置くことで、食べこぼしなどをリクガメが食べようとした際、床材の誤飲を防ぐことができます。
2.爪とぎにもなる
自然界のリクガメは岩などの硬いものの上を歩くことで爪が自然と削れますが、飼育下の柔らかい床材ではそれができず伸び切ってしまいます。爪が伸びたままだと歩行に影響が出たり、どこかに引っかかった際割れてしまう可能性があるため、爪切りが必要となります。
爪切りの詳細は別の記事で解説予定ですが、素人では注意するポイントが多くケガのリスクが高いため、病院や専門のショップに連れていってプロにお願いするのがおすすめですが、リクガメにとってストレスの多い作業ですよね。
しかし石プレートを設置することで、自然と爪が削れやすい環境を作り、爪切りの機会を減らすことができます。
▶まとめ
この記事ではアラブギリシャリクガメをお迎えするための事前準備、環境づくりについて解説しました。繰り返しでしつこいようですが...重要なのはお迎えしたリクガメをしっかり観察して、その子に合った環境に常にアップデートしていくことです!
ぜひ一緒にアラブギリシャリクガメとのスローライフを楽しみましょう♩
次回はアラブギリシャリクガメのご飯事情について投稿予定です!